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2020.04.09 2020年04月09日 書籍

書籍紹介『段落論』―日本語の「わかりやすさ」の決め手

わかりやすい文章を書く方法が知りたい。しっかりした構成で文章を書けるようになりたい。おそらく多くの人がそう願っていることでしょう。

国立国語研究所の石黒圭 教授(日本語教育研究領域)によると、段落の優れた使い手になれば、わかりやすい文章を明解な構成で組み立てられるようになるそうです。では、なぜ段落にはそのような力が備わっているのでしょうか。文章を書くことは、書き手の頭の中にある情報を、文書を通じて読み手の頭の中に移動させる、いわば「情報の引っ越し」なのだと先生はたとえます。段落は小物を入れる箱にあたります。本書をつうじて段落の仕組みを知り、段落作りのコツを極めることで、みなさまもきっと、情報の引っ越し上手になれることでしょう。

『段落論』(石黒圭)書影
石黒圭『段落論』/光文社新書
著者 石黒 圭
出版社 光文社 (出版社の詳細ページへ
出版年月日 2020年2月19日
ISBNコード ISBN 978-4-334-04461-9
価格 820円+税
目次 はじめに

第一部 段落の原理

  • 第一章 箱としての段落
  • 第二章 まとまりとしての段落
  • 第三章 切れ目としての段落
  • 第四章 つながりとしての段落
  • 第五章 フォルダとしての段落

第二部 段落の種類

  • 第六章 形式段落と意味段落
  • 第七章 絶対段落と相対段落
  • 第八章 伝統的段落と先進的段落

第三部 段落とコミュニケーション

  • 第九章 読むための段落
  • 第十章 書くための段落
  • 第十一章 聞くための段落
  • 第十二章 話すための段落
  • 第十三章 段落の未来

出版社の紹介文より

文章を書くことは「引っ越し」に似ている。部屋に散らばる無数の小物をそのまま運びだし、トラックの荷台にバンバン載せていくと、あとで崩れて大変なことになる。衣類、食器、文房具、おもちゃなど、種類別にラベルを貼って段ボール箱に詰め、それを荷台に積みこむことで、効率のよい引っ越しができる。同様に、文章を書くときも、書き手の頭にある無数の「文」を、「段落」という箱に整理して入れ、順々に運び出すことが大事である。読み手の頭という新居に荷物が届いたら、ラベルを頼りに仕分けして梱包を解けば、そのまま適切な場所にしまえる。文章による情報の引っ越しは、「段落」という箱の使い方にかかっているのだ。(石黒圭『段落論』/光文社新書)

石黒圭
ISHIGURO Kei
いしぐろ けい●国立国語研究所 日本語教育研究領域 教授、一橋大学大学院言語社会研究科 連携教授。
1969年大阪府生まれ。神奈川県出身。国立国語研究所日本語教育研究領域代表・教授、一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。一橋大学社会学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文章論。著書に『文章は接続詞で決まる』『「読む」技術』『日本語は「空気」が決める』『語彙力を鍛える』(以上、光文社新書)、『よくわかる文章表現の技術I[新版]―表現・表記編―』『同II[新版]―文章構成編―』『同III―文法編―』『同IV―発想編―』『同V―文体編―』(以上、明治書院)、『この1冊できちんと書ける! 論文・レポートの基本』(日本実業出版社)、『大人のための言い換え力』(NHK出版新書)など多数。

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