ことばの波止場

Vol. 2 (2017年9月発行)

編集後記

今号は「日本語の個性」と銘打たれています。世界の言語のなかで見た場合の日本語の個性、そして、いろいろな個性を持った日本語、という二重の意味が含まれているのかなあ、と思います。まさに国立国語研究所の仕事を端的に言い表すような表現で、実際、今号では現在国語研で行われているプロジェクト(の約半分)の概要が平易な言葉で説明されています。難しそうな名前の研究所ですが、今号を読んでみたら、あ、そんなことやってんの、と、ちょっとわかるかもしれません。お一人もそんなかたがいらっしゃったら、編集委員としては大変うれしく思います。

ところで、表紙の写真は沖縄県八重山郡竹富町黒島にある「伊古桟橋(いこさんばし)」です。今号の表紙用の写真を探すことになったときには、正直に言うと困りましたが、まさかこんなに『ことばの波止場』の表紙にぴったりの写真を自分が持っているとは思いもしませんでした。伊古桟橋は、現役の桟橋ではなく、今では国の文化財に登録されています。この写真を撮った時にはまだありませんでしたが、今ではアズマヤもできていて、黒島の貴重な観光資源となっています。沖縄県出身の人でもどこにあるか知らないような黒島ですが、そんな島にも国語研の調査の手は及んでいます。

つい先日も(中の記事で触れた)愛知県一宮市の調査に行ってきました。地元の方と、学生さんたちの方言に対する思いに触れて非常に感動しました。愛知のことばは標準語とそんなに変わらないだろうとお思いになるかもしれませんが、決してそんなことはなく、学生と一緒になって興味深い母音の書き取りに熱中しました。日本中どこに行っても「個性的」なことばがあって、人々がそれを使いながら生活しているんだなあと改めて実感した調査でした。 (原田走一郎)

次号予告

日本語の個性②
統語意味解析コーパス研究・日本語史研究・音声言語研究

国語研 ことばの波止場 vol.2

平成29(2017)年9月30日発行
編集 国立国語研究所研究情報誌編集委員会
発行 国立国語研究所
〒190-8561
東京都立川市緑町10-2
電話042-540-4300(代表)
協力 くろしお出版
デザイン 黒岩二三[Fomalhaut]

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