Vol. 4 (2018年9月発行)
特集では、コーパス開発センターと研究情報発信センターについてご紹介しました。ふたつのセンターは、相互に、また、各研究プロジェクトと連携して、言語資源の開発整備や共同利用、研究情報・研究資料の収集や公開などに取り組んでいます。
整備・公開するデータは、新しく調査したり収集したりするものもありますが、かつての研究の一環として蓄積した資料をよみがえらせたものもあります。
表紙の写真は、国語研究所に保存されている資料のひとつで、おもに1950~1960年代に各地の方言を録音したオープンリールテープ(「Soni」は、ソニーが東京通信工業であった時代の表記)です。
音声を記録することは、19世紀後半から欧米でおこなわれ、再生にはレコードが使われていました。ほかに、なんとワイヤーに磁気で録音する機械もあったそうです。続いて登場するオープンリールテープは、プラスチック製のフィルムに粉末状の磁性体を塗布したものですが、初期の頃には紙製の磁気テープも用いられていました。国語研究所の資料庫には、この紙製のオープンリールテープも保管されています。同じ磁気テープでも、カセットテープは今でも時々見かけることがありますね。その後、CDやMDといった光学ディスクが一般的になり、最近では、インターネットで音声ばかりか映像までも視聴できるようになりました。
過去に録音されたオープンリールテープの音声の一部は、刊行物の付属資料や、国語研究所のウェブサイトで公開され、貴重なデータの記録・保存の役目を果たすとともに、現在の研究を進めるための基礎データとしても活用されています。
国語研究所のウェブサイトには、音声のほかにもいろいろなデータベースやコーパスがありますので、一度のぞいてみていただければと思います。
(井上文子)
研究プロジェクト紹介①
言語変異と言語変化
平成30(2018)年9月30日発行
編集 : 国立国語研究所研究情報誌編集委員会
発行 : 国立国語研究所
〒190-8561 東京都立川市緑町10-2
電話 : 042-540-4300(代表)
協力 : くろしお出版
デザイン : 黒岩二三[Fomalhaut]
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