ことばの波止場

Vol. 5 (2019年3月発行)

著書紹介 : 形式語研究の現在

藤田保幸・山崎誠 編

和泉書院 2018年5月

形式語研究の現在 書影
『形式語研究の現在』書影

「からこそ」「における」「ものだ」「のだった」「てしまう」「つもりだ」のように,いわゆる自立語(=詞)と付属語(=辞)が結びついて一つの複合的な形式を成すものは,「複合辞」と呼ばれるが,本書はこれらに加え,「頃」や「分」のように,単独で辞的に転成した形式も含めて「形式語」と呼ぶ。

形式語研究は,現在の言語研究のキーワードである「文法化」と深く関わるものであり,本書には,現代語のみならず古典語・方言・対照研究・日本語教育・言語接触など,多彩な分野からの形式語研究が集められている。近年,盛んに行われている多分野の交流(コラボ)と相互活性化を目指した複合的研究書でもある。

本書は,論文28編と文献目録1編(方言の形式語関係文献目録)を収め,『複合辞研究の現在』(2006年)に続き,藤田・山崎両氏によって編集されている。文法カテゴリーで述べれば,格・ボイス・アスペクト・テンス・モダリティ・主題・取り立て・複文・接続詞・感動詞・敬語など,あらゆる項目にわたる研究を見出すことができる本書は,おそらくどのような分野の日本語研究者が手にしても,自身の研究テーマと深く関わる刺激的な論考を見つけられるのではないだろうか。

▶前田直子(学習院大学)