Vol. 5 (2019年3月発行)
『ことばの波止場』第5号をお届けします。
今回の記事を皆さんよりも一足先に読みながら、本来目に見ることができない言語というものの不思議さをあらためて感じました。私たちの脳の中にあり、それでいて社会の中で共有されている言語は、本来は目に見えないものです。それが文字を通して記録された時、また分析されて文法書や辞書としてまとめられた時に、それは見えるものになり、時代を超えて共有されるようになります。それを研究者が研究しているうちにも、言語はいつの間にか見えない形で姿を変え、研究者は再びそれを追うことになります。そして研究者は言語を目に見える形で社会に提示します。
『波止場』の第5号で紹介されている研究活動は、この目に見えないものに取り組む研究者の活動と言えるでしょう。言語研究の難しさも面白さも、この「目に見えない」という性質と関係しているように思えてなりません。このような地道な言語研究の意義がさらに認知されていくことを願います。この情報誌がそれに貢献することとなれば幸いです。
表紙の写真は、放送大学と共同で製作した特別番組「生きた日本語と格闘する 日本語研究70年」の撮影風景です。これについては14ページを御覧ください。
(松本曜)
研究プロジェクト紹介②
対照言語学と音声言語
平成31(2019)年3月29日発行
編集 : 国立国語研究所研究情報誌編集委員会
発行 : 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立国語研究所
〒190-8561 東京都立川市緑町10-2
電話 : 042-540-4300(代表)
協力 : くろしお出版
デザイン : 黒岩二三[Fomalhaut]
記事内のデータや役職名、プロジェクト名などは、発行当時のものとなります
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©National Institute for Japanese Language and Linguistics