Vol. 11 (2022年3月発行)
2011年3月の東日本大震災で東北地方や関東地方は大きな被害を受けました。その復興をめざして、2012年に「大規模災害と人間文化研究」がスタートしました。その後、災害に限らず過疎化などで急速に変貌しつつある地域社会の再構築をテーマとする研究に再編成され、このプロジェクトとなりました。人文機構の5機関が歴史学、民俗学、言語学、文学、環境学の視点から6年間、このテーマに取り組みました。
国語研ユニットの課題は、方言を如何にして地域の活性化につなげるかです。プロジェクトでは、これまで交流のあった宮崎県椎葉村や鹿児島県沖永良部島和泊町・知名町と協力して、地域の人と一緒に方言を記録したり方言のイベントを開催したりして、方言の良さを再認識してもらう活動を行いました。椎葉村ではその成果として、近々、『椎葉村方言語彙集』を刊行します。語彙集には単語の意味だけでなく例文を豊富に盛り込み、できるだけ日常生活が感じられるようにしています。今後は、椎葉のみなさんがこの語彙集をさらに充実させてくださり、私たちはそのお手伝いができれば、と思っています。
(木部暢子/言語変異研究領域・特任教授)