ことばの波止場

Vol. 12-2 (2023年4月公開)

特集 : ことばを集める(文献・資料を集める)

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文献・資料を集める

国語研で研究しているのは、現在使われていることばだけではありません。かつてどのようなことばが使われていたかを研究するため、古い時代に書かれた書物や文書などの文献を収集し、整理・分析しています。ことばがどのように変化してきたかを知る手掛かりにもなります。

また、収集の対象は国内だけではありません。移民・植民によって海外に形成された日本語コミュニティーを対象に、日本語で作成されたさまざまな資料を収集して、日本語のバリエーションや変化についても研究しています。

文献調査の主な携行品(高田智和教授の場合)

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原稿用紙、鉛筆(黒・赤・青・緑)、ルーペ、ペンライト、巻き尺。古い文献を調査するときは、鉛筆以外の筆記用具の持ち込みが禁止されています。ペンライトは、角筆で紙の表面をへこませて書かれている文字の読み取りにも使います。

『悉曇蔵』巻一と、調査時の文献ノート

国語研が所蔵している『悉曇蔵しったんぞう』巻一(安然 著、1297年写)を調査したときに作成した文献ノート。調査した日付・場所、文献の名称、表紙に書かれている情報、大きさ、紙質などを原稿用紙に記録していきます。右は、国語研のウェブサイトで公開しているこの文献のデジタル画像(https://dglb01.ninjal.ac.jp/ninjaldl/bunken.php?title=sittanzo)。

資料調査の主な携行品(朝日祥之准教授の場合)

カメラ

カメラ。資料を撮影するときは、印刷物や展示パネルにも使えるように、高解像度で撮ります。

スライド写真デジタル化装置

オリジナルのスライド写真デジタル化装置。スライド写真(ポジフィルム)をレンズの前に置き、その後ろから白い光を当てて撮影します。大量のスライド写真を、世界中どこででも短期間でデジタル化することができます。

ノートと筆記用具、はけ

(左)ノートと筆記用具。インタビューや聞き取りを行う際に、メモを取ります。話者の方に地図などを書いてもらうこともあります。
 (右)はけ。資料をきれいにするところから始めます。

手袋と巻き尺

(左)布手袋。資料を汚してしまったり傷めてしまう恐れがあるので、布手袋を着けます。紙がもろくなっていることも少なくないので、資料は慎重に扱います。
 (右)巻き尺。資料の大きさを測ります。写真を撮影する際、資料の大きさが分かるようにスケールとしても使います。