Vol. 12-2 (2023年4月公開)
これまで国語研が集めたり作成したりしてきた、ことばに関する資料や文献は、どれもとても貴重なものです。それらは、国語研の貴重書庫や研究資料室、メディア保管庫などに、大切に保存しています。
しかし、紙は劣化します。音声・映像資料は読み取れなくなる可能性があります。過去の資料を状態よく保存することに加え、デジタル化して公開するなど、貴重な資料を活用できるようにする取り組みも行っています。
1950年に山形県鶴岡市で実施した共通語化に関する第 1回調査で回収された調査票。劣化しているため 1枚ずつ裏紙を貼って保存しています。鶴岡市での調査はこれまで 4回実施しており、全ての調査票の原本を保存するとともに、スキャニングしたデータも保存しています。また、回答データを収録したデータベースとその解説(https://mmsrv.ninjal.ac.jp/tsuruoka/)を国語研のウェブサイトで公開しています。
メディア保管庫には、オープンリールテープ 2,833点、カセットテープ 17,607点、ミニディスク 1,333点、デジタルオーディオテープ 23,522点、VHSテープ 647点などの音声・映像資料が保管してあります。
オープンリールテープ(上)と録音された音声をデジタル化する装置(下)。オープンリールテープは 8チャンネルあり、この装置を用いると 8つのチャンネルを別ファイルとして読み込んで変換できます。
カセットテープ(上)と録音された音声をデジタル化する装置(下)。2倍速で、しかも A面と B面の音声を一度に読み込んで変換することができます。そのため、録音されている実時間の 4倍のスピードで変換が可能です。大量のカセットテープがあるので、スピードは重要です。
国立国語研究所では、日本語・言語研究のために集めた基礎資料やデータを整備し、広く社会に提供しています。その多くが申請なしで国語研のホームページから利用できます。まずは「データ・資料を探す(https://www.ninjal.ac.jp/resources/search/)」の検索パネルで、気になる資料の種類や研究分野、フリーワードを入力してみませんか。そこは豊かなことばの世界の入り口です。