7月20日、「国立国語研究所 オープンハウス 2019」のイベントとして、国語研の研究資料室中央資料庫をご案内するツアーが行われました。普段は入室のできない資料庫への限定ツアーとあって、先着10名×3回(計30名)の整理券配布はすぐに終了。激戦(?)を勝ち抜いたみなさまには、過去の貴重な調査資料がどのように保管されているのかをご覧いただきました。
カード保管庫。「現代雑誌90種調査」のカード例を見ていただきました。1956年発行の一般雑誌を対象としたこの調査は、書きことばで使用される語彙の傾向を知るために実施されたもので、統計手法を駆使した精度の高さと実施時期の早さにおいて、世界的に見ても先駆的な調査です。
メディア保管庫。オープンリール 2,711点、カセットテープ 16,539点、ミニディスク 776点、DAT 23,314点…などなど、ここには膨大な量の音声・映像資料が保管してあります(資料数は2019年7月現在のもの)。写真中央は、第1・3回ツアーを引率した高田智和 准教授(言語変化研究領域)です。
中央資料庫。「全国方言調査」の資料を見ていただきました。これは1957年から1964年にかけて全国2,400地点で実施された方言調査で、特定の単語の土地ごとの言い方や発音のしかたなどを調べ、地図上にその分布の様子を示しました。その結果は地図300枚にも及ぶ『日本言語地図』全6巻にまとめられています。研究資料室では、言語地図作成時の情報カードや言語地図の草稿が保存されています。
『日本言語地図』(LAJ)作成に使用した語形を表すスタンプ。
中央資料庫。国語研では、書きことばで使用される語彙の傾向を知るために新聞・雑誌・教科書を対象とした語彙調査を実施してきました。研究資料室では、語彙調査時の情報カードや、語彙調査のために収集した雑誌原本を保存しています。
中央資料庫。2011年に公開した『現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)』の資料もこちらに保存されています。BCCWJ は書籍、雑誌、新聞、白書、ブログ、ネット掲示板、教科書、法律などのジャンルにまたがる大規模コーパスで、1億430万語を収録しています。
研究資料室では、コーパス作成時の書籍や雑誌の原本と、著作権者の承諾書を保存しています。
中央資料庫。音声分析装置。音声の実験的研究に用いたさまざまな分析装置を保存しています。
引率した先生方の説明やエピソードも大変興味深く、当時の苦労がしのばれるものでした。お忙しい中ツアーにご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。