国立国語研究所では、小・中学生が「ことばっておもしろい」と感じてくれるようなプログラムを実施しています。2023年2月9日、山田真寛准教授が、国分寺第三小学校を訪問し、6年生4クラスのみなさんの「総合」科目の講師として、ジュニアプログラムを実施しました。
今年の国分寺第三小学校の「総合」科目では、農協の方、アパレルの方、美容師の方による講義もおこなっているそうです。こうした中で、山田准教授は、言語学研究者は農作物を作っておらず、お洋服も売っていないのに、何でお金をもらっているかと問いかけ、その答えは、「知識を生産する」ことでお金をもらっていると説明しました。
山田准教授は、「ワンタン麺館」ということばを使って、このことばの中に何度も出てくる「ん」が、実際は異なる方法で発音されていることを紹介しました。このことから、私たちが普段、意識もしていない発音には、実は日本語全般、さらには外国語にまで適応できるルールが存在していることを、三段階に分けて説明しました。そして、このような「規則」の発見の蓄積を通して、普段われわれの意識外にあることをもう一度意識のもとに戻らせることができ、これこそが人類のための知識を生産することであり、そこに価値があると述べました。
授業の後半では、山田准教授は自身が研究者になった経緯を紹介しました。曰く「自分は研究者になろうとしてなったわけではなく、気づかないうちになっちゃった」だそうです。
午前中に4クラス連続して授業を行いましたが、いずれのクラスでも質問を投げかけると、児童のみなさんから積極的に回答をいただき、時々笑い声もあふれる活発な雰囲気の中で授業が終わりました。授業が終わった後の廊下では、「ワンタン麺館」「ワンタン麺館」と復唱する声も聞こえました。