第1号(1999年10月1日発行)
「うちの孫は字をおぼえたのでもう本を読むことができる(能力可能)」ということを友だちに話すときの表現は、全国の方言を調べてみると約200とおりのバラエティがあります。上の地図の水色記号は「読むことができる・読むごだでぎる・読むこつがでくる・読むごどあでる」の類、紺色記号は「読める・読むる・ゆーみん」の類、緑色記号は「読まれる・読めれる」の類、橙色記号は「よー読む」の類、茶色記号は「読むにぃー」の類、赤色記号は「読みえる・読みゆる・読みきる・読んがなっ・ゆみみつり」などの類です。日本語の話ことばにはそれほど多様な表現法があるのです。
『方言文法全国地図』は、全国807地点で、さまざまな文法・表現法267項目を面接調査で尋ね、得られた回答を記号にして地図上に示した言語地図です。第4集には、「行きはしなかった」などの否定表現16項目、「行ったってだめだ」などの条件表現6項目、「読むことができる」などの可能表現13項目、「おもしろかったなあ」などの過去回想表現12項目、「(運動会が)ありよる」などのアスペクト表現8項目について、55面の言語地図を収めています。また、地図化の方法、各図の解説、調査結果の生資料を詳しく示した解説書を付けています。
方言文法全国地図 第4集
国立国語研究所編 大蔵省印刷局発行
平成11年4月刊
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。