国語研の窓

第2号(2000年1月1日発行)

連載:国立国語研究所の紹介(2)

21世紀を迎える国立国語研究所の在り方

国立国語研究所長 甲斐 睦朗

新年明けましておめでとうございます。

国立国語研究所は、いよいよ来春の平成13年4月から独立行政法人として新しく生まれ変わることになり、本年は、独立行政法人へ移行する最後の年になりました。そこで、今回は、新年号でもありますので、前号に予告しました国立国語研究所の50年をふり返るという連載の趣旨を改めて、21世紀を迎える国立国語研究所の在り方について申し上げることにいたします。

新しい独立行政法人国立国語研究所の目的は、独立行政法人国立国語研究所法に、次のように規定されています。

(研究所の目的)
第三条 独立行政法人国立国語研究所(以下「研究所」という。)は、国語及び国民の言語生活並びに外国人に対する日本語教育に関する科学的な調査及び研究並びにこれに基づく資料の作成及びその公表等を行うことにより、国語の改善及び外国人に対する日本語教育の振興を図ることを目的とする。

この目的は、現在の研究所の目的と基本的に異なるものではありません。なお、ここには、現在も実施している外国人に対する日本語教育に関する事項等が明示されました。

この目的達成のために研究所が対象とするものとして、国語、国民の言語生活、外国人に対する日本語教育の三種があります。そして、業務としては、それらに対する調査及び研究、これに基づく資料の作成及び公表等、外国人に対する日本語教育に従事する者等に行う研修の三つに大別されます。本研究所は、現在、この目的を達成するための独立行政法人移行後の在り方全般について検討を行っております。

本研究所は、創立50余年、国語の改善及び国民の言語生活の向上を図るために、国語の現状等について様々な見地から調査研究を進め、その成果等について公表を行うとともに、調査研究に基づく事業を進めて参りました。

平成10年度から、識者の方々にお願いして外部評価委員会を設置し、本研究所についての評価をお願いしました。委員会においては、国語の研究所は、国公私立を通じて唯一無二であり、21世紀においてもその役割は重要であること、国語の改善や国民の言語生活の向上のために一層力を尽くすべきこと、世界の日本語関係者が当研究所からの情報発信を期待していること、更に、研究所の目的・使命を達成するには、調査研究の推進とともに、その成果については、研究者を対象とした発表・資料の提供にとどまらず、広く公表して、国民の言語生活の向上に資するべきこと、また、その成果を大学院教育に反映させることが重要であるというご指摘を頂きました。

本研究所は、これらのご指摘をしっかりと受けとめ、本研究所の在り方を検討し、本研究所の目的・使命を達成したいと考えております。

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。