国語研の窓

第5号(2000年10月1日発行)

研究成果の紹介:日本語と外国語の対照研究シリーズ

日本語と外国語は、どこが似ていて、どこがどのように違うのでしょうか。言語と言語の比較対照は、音声、語彙、文法、意味、文字・表記、会話の仕方、ことばに伴う身振り、ことばの背景にある発想法など、いろいろな面について行うことができます。日本語と外国語を対照しながら研究することで、日本語だけを見ていた時には気づかなかった特徴や、他の言語とも共通する点など、日本語についてより多くのことがわかってきます。また、たとえば日本語とスペイン語の相違点がわかれば、日本人がスペイン語を学習する時に、またスペイン語を母語とする人が日本語を学習する時に、どのようなことが難しそうか、どのような点に気をつければ効果的に学習できるか、予測することも可能です。

日本語と外国語の違いからくる具体的な例を一つみてみましょう。たとえば、ピアノを部屋に運び入れようとしたけれど、大きすぎて無理そうだという時、なんと言うでしょうか。日本人なら、「このピアノは(大きくて)入らない」と言うでしょう。しかし、日本語を勉強中の中国人の場合、「このピアノは入れない」と言うことがあります。中国語ではそのような言い方をするからです。

国立国語研究所日本語教育センターでは、これまでに英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、タイ語、インドネシア語、中国語、朝鮮語などの諸言語と日本語との対照研究を行い、以下の報告書を刊行しています。

日本語と外国語の対照研究VI

日本語と外国語の対照研究VI
日本語とスペイン語(3)

国立国語研究所編
くろしお出版発行
平成12年3月刊
A5判 3500円

日本語と外国語の対照研究VII

日本語と外国語の対照研究VII
日本語とポルトガル語(2):
ブラジル人と日本人の接触場面

国立国語研究所編
くろしお出版発行
平成12年3月刊
A5判 4200円

『日独仏西基本語彙対照表』 (国研報告88、1986、A4判 8755円 秀英出版)

<日本語と外国語との対照研究シリーズ> (いずれも くろしお出版)

I 『日本語とスペイン語(1)』 (1994)A5判 3800円
II 『マイペンライ―タイ人の言語行動を特徴づける言葉とその文化的背景についての考察その1―』 (1995)A5判 3835円
III 『日本語とポルトガル語(1)』 (1996)A5判 3000円
IV 『日本語と朝鮮語』上下巻 (1997)A5判 上巻2500円 下巻4500円
V 『日本語とスペイン語(2)』 (1997)A5判 3500円
VI 『日本語とスペイン語(3)』 (2000)A5判 3500円
VII 『日本語とポルトガル語(2)』 (2000)A5判 4200円

今後、刊行が予定されているものに、次の3冊があります。

VIII 『マイペンライ その2』
IX 『日本語とフランス語―音声と非言語行動―』(仮題)
X 『対照研究と日本語教育』(仮題)

※( )内は発行年、値段は本体価格です。

 

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。