第6号(2001年1月1日発行)
国立国語研究所では、日本語の研究・教育に有用な研究文献情報を収集採録した『年鑑』という形態での2種類の刊行物をもっています。『国語年鑑』と『日本語教育年鑑』です。
『国語年鑑』は、「ことばに関するあらゆる意見や研究や声を記録、整理して、問題を解決し、ことばの生活を進展させる基礎教材としたい」(初代所長・西尾実の「刊行のことば」より)ということから、1954年に創刊され、以来40年以上続いています。付加的な情報の提示は時代によって若干異なりますが、中心は国語・日本語に関する研究書や論文などの文献情報の収録にあります。
最新の『国語年鑑 2000年版』(2000年12月発行)には、国内外の日本語研究関係の図書1,503件、雑誌論文3,222件の情報が掲載されており、それらがジャンルによって細かく分類されているので、自分の知りたい分野についての情報を効率的に得ることができます。また、国語関係者や関係団体の名簿も収められているので重宝されています。
毎年生産される国語・日本語研究論文や研究書の数は非常に多く、年々増加しています。現在の『国語年鑑』には、国語教育や日本語教育関係の文献も採録されていますが、その範囲は学術的研究に関するものであり、言語教育の世界独自の実践的研究やテキストの類は対象となっていません。これらの情報を加えると膨大なものとなり、手に余るからです。
『国語年鑑 2000年版』 7600円+税 大日本図書
日本語教育の世界が拡大するに伴い、日本語教育関係の研究文献目録を求める声が大きくなってきました。そこで、国立国語研究所の日本語教育センターでは、1980年に『日本語教育学会誌・機関誌掲載論文等文献一覧』を内部資料として作成しました。以降、毎年刊行し続けてきましたが、2000年6月、広範囲の方々に使っていただけるように『日本語教育年鑑』という形で公刊しました。
『日本語教育年鑑 2000年版』は「日本語教育の世界の実状を示し、日本語教育に関わる様々な情報の交流の基盤となることを目指すもの」(甲斐所長の「創刊のことば」より)として、日本語教育関係の書物や論文や研究成果などの情報や、国の政策、関係機関の動きなどをまとめたものです。収録した図書391件、論文1,328件です。これらは、ジャンルごとにまとめられ、ひとつひとつの文献にキーワードや章立てが付いているので、知りたい情報にたどり着くことができ、また全体的な内容を容易に把握することができます。
『日本語教育年鑑 2000年版』 4200円+税 くろしお出版
2冊の『年鑑』は図書館、研究室はもとより、個々人においても有用なものです。お手元に置きご活用いただければ幸いです。
この2つの文献目録は、書物という形態での『年鑑』の他に、電子情報としてホームページ上でも見ることができるようになっています。
『国語年鑑』:http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/kokugo_nenkan/
『日本語教育年鑑』:http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/nshiryou/
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。