国語研の窓

第6号(2001年1月1日発行)

終了報告:第8回国際シンポジウム専門部会

「自発音声韻律ラベリングワークショップ」

平成12年11月14日(火)・15日(水) 国立国語研究所

従来の音声研究では、朗読調の整った音声が研究の主対象とされていましたが、最近では我々が日常自然に話しているような自発性の高い音声も分析されるようになってきました。日常音声は多様性に富んでおり、従来の手法では捉(とら)えきれない面がたくさんあります。今回とりあげた韻律もその一つです。ワークショップの目的は、韻律のラベリング手法であるJ_ToBIを自発性の高い自然な音声に適用する際に生じる問題を整理し、解決策を探ることです。参加者には5分程度の音声を現行のJ_ToBIマニュアルに従ってラベリングしていただくという、宿題付きのワークショップです。(表紙写真参照)

初日は現マニュアルの著者であるベンディッティ氏(ラトガース大学)の講演に続き、参加者から提出された宿題の分析結果講演の報告が行われました。二日目は宿題を行う際に直面した問題について参加者から報告していただいた後、今後の方策について討議を進めました。48名にのぼる参加者から活発な意見表明があり、全体として大変に活気のある意見交換の場となりました。このワークショップの成果を生かしたマニュアルの作成を決め閉会となりました。

「東アジアにおける日本語観国際センサス」

平成12年9月20日(水) 国立国語研究所

国立国語研究所は、外国人から見た日本語観についての調査、「日本語観国際センサス」を行ってきましたが、その成果をもとに9月20日(水)、日本、韓国、中国、シンガポールの研究者による国際シンポジウムを開催しました。各国の研究者による日本語・日本語教育事情に関する研究報告の後、「日本語観の現在・未来」と題するパネルディスカッションが行われました。

国際化が進む東アジア地域では、様々なイメージを持たれながらも日本語が第二外国語としての地位を確立しつつあります。相互交流の機会が増え、日本人との接触様態が変化するにつれ、日本語がどのように意識され、今後どんな方向に変容していくのかという点について、各国の研究者とフロアの間で活発な討論が繰り広げられました。

このシンポジウムの内容は、国語研報告として刊行される予定になっています。

  第8回国際シンポジウム:http://www.ninjal.ac.jp/archives/event_past/kokusai_sympo/08/

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。