国語研の窓

第10号(2002年1月1日発行)

第7回ことばフォーラム報告

日本語情報の海外提供

横山詔一・笹原宏之・熊谷康雄・エリク=ロング(国立国語研究所)

2001年11月1日(木)午後4時10分~55分 東京国際フォーラム(東京都千代田区)
データベース2001東京,プレゼンテーションセミナー
国立国語研究所・紀伊國屋書店共催,日本書籍出版協会 後援

海外のWWWブラウザに日本語を表示させようとすると,いろいろな点で難しい問題に直面します。この壁を突き崩すには,どうすればよいのでしょうか。現在いくつかの方法が提案されていますが,国立国語研究所が中心になって開発を進めている日本語情報の海外提供システムは,日本語の一つ一つの文字を画像で画面に素早く表示できるように工夫しています。今回のセミナーは,その実例を二つ紹介しました。

実例その1:出版情報データベースの提供

たとえば,本のタイトル(書名)などを英訳すると,本来のニュアンスがどうしても伝わりにくくなります。海外へ我が国の出版情報を提供する場合,少なくとも書名や著者名は日本語で表示されるのが望ましいと考えられます。ここでは,我が国の出版情報データベースを,海外からも「日本語で高速に」検索できるシステムのデモンストレーションと解説を行いました。

このシステムを利用して海外に提供するデータベースは,(社)日本書籍出版協会が構築している出版情報データベース「Books」です。そこには,現在入手可能な書籍約60万件の書誌情報が収められています。

実例その2:用語用字データベースの提供

国立国語研究所は,1956年(昭和31年)当時に出版された代表的な一般雑誌90種類から約100万字を抽出し,どのような文字や語が,どのくらい使われているのかを調査しました。この雑誌90種類の電子化データを海外からも検索できるようにしたシステムが,今春から国立国語研究所のWebページで公開されています。

このシステムについて,昨年の「データベース2000東京」で開催されたセミナーにおいて紹介した内容も含めて,文字表記の問題を中心に解説とデモンストレーションを実施しました。

その他

以上の実例にくわえて,国立国語研究所が作成してきた「日本語研究の文献目録」や日本語教育の教材作りに利用できる「素材データベース」(日本語教育支援総合ネットワークシステム)など,インターネットで公開されているデータベースの内容についても簡単に紹介しました。

参加者の満足度

参加者は,図書館,日本語教育,出版社,新聞社,IT関連企業,流通運輸関連企業などの関係者が多く,さまざまな幅広い分野の方々から興味・関心を寄せていただいたことが分かります。セミナーの満足度をアンケートでたずねたところ,肯定的に評価してくださった回答が89%でした。

(横山 詔一)

日本語情報の海外提供

  第7回「ことば」フォーラム:http://www.ninjal.ac.jp/archives/event_past/forum/07/

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。