国語研の窓

第11号(2002年4月1日発行)

新刊紹介「全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成」

国立国語研究所資料集13『全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成』

国書刊行会発行
定価:6,800円(税別)
冊子:1冊 A5判 約200ページ,CD:1枚,CD-ROM:1枚 Windows・Macintosh版

『第11巻 京都・滋賀』(2001年11月)
『第12巻 奈良・和歌山』(2002年1月)
『第13巻 大阪・兵庫』(2002年3月)

1977年度から1985年度にかけて,「各地方言収集緊急調査」という全国規模での方言談話の収録事業が文化庁によって実施されました。この調査によって,日本全国の200地点以上で収録した,約4000時間にも及ぶカセットテープと,その一部を文字化した手書き原稿が残されました。

これらの資料は,方言の生きた実態を解明する貴重な研究データであるとともに,急速に失われつつある各地の伝統的な方言を,文化財として記録・保存するという意味においても意義のあるものです。

そこで,国立国語研究所では,この膨大な録音テープと文字化原稿を電子化して,大規模な方言談話データベースを作成し,広く公開しようとしています。

このたび,このデータベースの中から,各都道府県ごとに,その土地の方言の特徴がよく現れているお年寄りたちの自然な会話を選び,全20巻の『日本のふるさとことば集成』として刊行を開始しました。

各巻は,冊子・CD・CD-ROMが1セットとなっています。CD・CD-ROMには方言の会話の音声を収録し,冊子・CD-ROMには,音声の文字化(カタカナ表記),共通語訳(漢字かなまじり表記),収録地点と方言の解説,などを収めています。従来にはあまりなかった,方言の音声と文字化の電子化データを備えていますので,検索や加工が簡単にでき,教育や研究にご活用いただけることと思います。

『第11巻 京都・滋賀」は,このシリーズの最初の巻となります。今後,近畿,関東,中国,四国,・・と,各地域ブロックごとに刊行を進めていく予定です。

【内容】

『第11巻 京都・滋賀』
方言談話データ(1) 「年末年始の行事」 京都府京都市 1983年収録
方言談話データ(2) 「昔の食生活」 滋賀県甲賀郡甲賀町 1981年収録

『第12巻 奈良・和歌山』
方言談話データ(1) 「趣味と病気」ほか 奈良県五條市 1981年収録
方言談話データ(2) 「子供の遊び」ほか 和歌山県田辺市 1981年収録

『第13巻 大阪・兵庫』
方言談話データ(1) 「大阪弁」ほか 大阪府大阪市 1977年収録
方言談話データ(2) 「子供の頃の遊び」ほか 兵庫県相生市 1985年収録

国立国語研究所資料集13 『全国方言談話データベース日本のふるさとことば集成』

  • 方言談話音声のwaveファイル,その文字化textファイル,共通語訳textファイルなどを収録。
  • 添付の検索ソフトにより,話者単位,発話単位,文字列での検索が可能。

(井上 文子)

  『全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成』:
http://www.ninjal.ac.jp/publication/catalogue/hogendanwa_db/

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。