国語研の窓

第12号(2002年7月1日発行)

データベース紹介:「国立国語研究所新聞切抜集」目録データベース

『国立国語研究所新聞切抜集』とは

国立国語研究所では,1949年からことばに関する内容の新聞記事を『新聞所蔵国語関係記事切抜集』として保存しています。これは,戦後50年以上にわたり,「言語」「言語生活」という視点で収集された,日本で唯一の新聞記事資料です。全国紙,ブロック紙のほか,専門紙もカバーしており(ただし1989年以降は朝日・毎日・読売の3紙のみ),記事の範囲も,社会・政治・文化面,論説,家庭・投稿欄など,たいへん広い範囲にわたっています。

『切抜集』の有効利用にむけて

『切抜集』に収録された膨大な記事(約12万件)は,戦後50年の言語意識や言語生活の変化を知る重要な手がかりになります。私たちは『切抜集』を利用して,

  • 「私たちは,日常生活の中でことばをどのように使っている(使ってきた)か」
  • 「私たちは,ことばについてどのような規範意識や価値観を持っている(持ってきた)か」
  • 「ことばをめぐる社会の状況は,時代とともにどう変わったのか」

といったことを探ることができます。

最近では,商用の新聞記事データベースを利用した記事の全文検索もできるようになってきました。しかし,その多くは1980年代半ば以降の記事が対象です。それ以前の新聞記事については,縮刷版やマイクロ版がありますが,特定分野の記事を探そうとすると,全部の記事に目を通すしかありません。

このような不便を解消するために,国立国語研究所では,『切抜集」の収録記事の「日付」「掲載紙」「見出し」「キーワード」などの情報をまとめた,「『国立国語研究所新聞切抜集』目録データベース」を作成しています。現在,1949年~1998年の50年分については,国語研究所のホームページ上で自由にデータの検索をおこなうことができます。

また,コンピュータを使って記事本文を読むことができるように,『切抜集』の収録記事そのものを画像データとして電子化する作業をすすめています。これにより,国語研究所以外の場所での閲覧が可能になり,より広範な利用に資することができます。また,電子化することにより,黄ばみや破れなどの劣化が進んでいる『切抜集』を長期間安定して保存することも可能になります。

画像化のための著作権処理

もちろん,『切抜集』に収録されている新聞記事にはすべて著作権があり,『切抜集』の収録記事を画像データ化するためには,著作権者(執筆者または著作権継承者,新聞社等)の許諾が必要です。国立国語研究所では,現在,『切抜集』の収録記事の著作権者の連絡先を調査し,記事の利用について許諾をいただく手続きをすすめているところです。

しかし,投書など,著作権者の方と直接連絡をとることが困難な場合も少なくありません。投書は人々の言語意識の一端を直接反映した重要な資料です。私たちは,国語研究所のホームページ上に投書記事の投稿者名の一覧を掲載し,皆様からの情報提供をお待ちしております。『切抜集』という貴重な資料の有効利用のために,皆様の御協力をお願いいたします。

(新聞DB作成委員会 池田 理恵子)

「国立国語研究所新聞切抜集」目録データベース01
「国立国語研究所新聞切抜集」目録データベース02

  ことばに関する新聞記事見出しデータベース:http://www.ninjal.ac.jp/archives/sinbundb/

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。