国語研の窓

第18号(2004年1月1日発行)

大学院教育への参画

国立国語研究所では, 平成13年10月から, 政策研究大学院大学(新宿区)・国際交流基金日本語国際センター(さいたま市)と3機関連携の大学院プログラムを運営しています。 修士課程(日本語教育指導者養成プログラム) と博士課程(日本言語文化研究プログラム)とがあります。

修士課程は3年目に入っており, 15年10月に第3期生9名を世界9か国(東南アジア・中央アジア・南米)から迎えて指導を続けています。 院生は, 出身国の機関や学校で日本語教育の中堅指導者としてすでに活躍している人たちです。 それぞれの本務先で課題となっている日本語教育の教授法や教材などに関することがらを研究テーマに掲げて, 1年間の集中したカリキュラムで研究を進め, 16年 9月の修士号取得を目指しています。 国語研究所からも16名の所員が講義・演習・研究指導に当たっています。

さかのぼって15年秋には, 第2期生9名全員が修士号を取得して修了し, 出身国に帰りました。 帰国後は, それぞれの本務先で仕事を再開し, 修士課程在学中の成果を論文発表したり, 講演で紹介したりという活動を行っており, 折にふれその状況を報告して来ています。 修了後の業務や活動を通じて, また修了生相互のつながりを持続することを通じて, 世界各地の日本語教育現場の人や情報の交流を深め始めています。

一方, 博士課程は, 15年10月に第1期の院生1名を中国から受け入れ, プログラムを開始しました。 本課程は, 日本語と日本語教育の知識・技能に熟達し, 出身国での日本語教育を指導的な立場で支え展開していく人材を育成することを目標としています。 この目標のもと, 院生は 3年間の在学中, 国語研究所や関係機関の進める調査研究に主体的に参加したり, 学会発表や論文発表を重ねたりしながら, 博士論文完成を目指します。 1期生の指導には, 連携3機関のほか中国の大学教官も加わった指導教官グループが当たります。 そのうち国語研究所は, 博士課程院生を招へい研究員として受け入れて指導や研究環境の充実を図っています。

なお, この大学院プログラムに関する詳しい情報 (次期募集要項も含めて) は, 各機関のホームページに掲載されています。(他の2機関のホームページは国語研究所ホームページを通しても御覧いただけます。)

(杉戸 清樹)

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。