国語研の窓

第27号(2006年4月1日発行)

解説:大学院教育へのさらなる参画

国立国語研究所は,平成13年10月から実施している政策研究大学院大学,国際交流基金日本語国際センターとの連携大学院プログラムに続き,平成17年4月から,一橋大学大学院言語社会研究科(国立市)との連携大学院プログラム「日本語教育学位取得プログラム」に参画しています。このプログラムには,一橋大学大学院言語社会研究科,一橋大学留学生センター,国立国語研究所の三者が参画しています。

一橋大学大学院言語社会研究科は,学部を持たない独立大学院として平成8年に設立された研究科で,世界における多種多様な問題を言語と社会をキーワードに分析することを目指した研究・教育を行っています。また,一橋大学留学生センターは,同じく平成8年に設置されたセンターで,特に専門日本語教育について豊富な研究と実践の蓄積を持っています。

「日本語教育学位取得プログラム」は,この二つの組織に国立国語研究所を加えた三つの組織のそれぞれの特長を生かし,日本語教育学,日本語学,日本文化を総合的に学べる場を提供することを目指しています。学生の背景も様々で,修士課程1年の学生には,留学生や日本語教育経験者が含まれます。現在は修士課程だけですが,平成19年4月には博士課程が発足する予定です。

この連携大学院プログラムでは,国立国語研究所は日本語学の分野を担当しています。現在は,井上優(日本語教育部門)が対照言語学,前川喜久雄(研究開発部門)が音声学・音韻論,山崎誠(研究開発部門)が語彙論・計量言語学の演習を担当しています。また,田中牧郎(研究開発部門)がコーパス言語学の講義を担当しています。井上,前川,山崎の3名は,プログラム運営,論文指導も担当しています。

一橋大学と国立国語研究所は,場所が比較的近いこともあり,学生は積極的に国立国語研究所の図書資料などを活用しています。また,大学とは一味違う日本語研究の現場に触れられることも,他の大学院では得がたい経験になっているようです。国立国語研究所にとっても,若い研究者の卵との交流は,研究を進める上でよい刺激になりそうです。

なお,本プログラムに関する詳しい情報は,国立国語研究所及び一橋大学言語社会研究科のホームページに掲載されています。

(井上 優)

  連携大学院:http://www.kokken.go.jp/katsudo/daigakuin/

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。