国語研の窓

第28号(2006年7月1日発行)

国際シンポジウム報告

第13回国際シンポジウム「言語コーパスの構築と活用」

(3月6日・7日 時事通信ホール)

国立国語研究所では今年度から始まった第2期中期計画の中心的課題として,現代語書き言葉の大規模なコーパスを構築します。今回のシンポジウムは,この事業を念頭において企画したものであり,諸外国で言語コーパスの構築ないし応用にかかわってきた方々をお招きして,その知見を提供していただくとともに,国語研究所で構築を予定している書き言葉コーパスの設計に対するコメントをいただくことが目的でした。

3月1日に全国紙の夕刊1面で,この書き言葉コーパス構築計画が大きく報道されたこともあり,定員の200名を超える事前参加申し込みがありました。

初日には,学習者用英語辞典で著名な英国ピアソン・エデュケーション社(ロングマン)のスティーブン・バロン氏,韓国延世大学で1980年代から韓国語コーパスの開発に携わってきたソ・サンギュ氏,中国北京大学で計算言語学の研究を進めているツァン・ウェイドン氏による講演があり,明海大学の投野由紀夫氏からコメントをいただきました。また,講演の合間には,国語研究所が公開している『日本語話し言葉コーパス』と『太陽コーパス』のデモンストレーションも実施しました。

2日目には,イタリアボローニャ大学でウェブ上のテキストから巨大なコーパスを構築する手法を研究しているマルコ・バローニ氏,台湾中央研究院でコーパス構築と計算言語学の研究に携わっているフアン・チューレン氏,韓国国立国語院で21世紀セジョン計画を担当しているキム・ハンセム氏による講演の後,国語研究所の前川と山崎誠が,国立国語研究所における言語コーパス開発の現状および現代語書き言葉均衡コーパスの設計について発表しました。

大阪外国語大学の田野村忠温氏,奈良先端科学技術大学院大学の松本裕治氏からコメントをいただき,さらに全体でのパネルディスカッションを行いました。

第13回国際シンポジウム「言語コーパスの構築と活用」

全体として,会場からの質問もふくめ,大変活発な質疑が行われたシンポジウムでした。
  http://www.kokken.go.jp/kotonoha/

(前川 喜久雄)

*コーパスとは言語研究用に作られたデータベースのことで,体系的に収集され,研究用の情報を付加された言語資料のことを言います。

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。