第31号(2007年4月1日発行)
国立国語研究所編,ぎょうせい刊
日本語に関する興味・関心を一般の方々に持っていただく目的で,国立国語研究所は『新「ことば」シリーズ』という普及書を毎年約6万部発行し,ほぼ全国の学校や公民館に無償配布しています。2007年3月30日発行の第20号は「文字と社会」を取り上げます。
本書は,一般書店で購入できます。
新「ことば」シリーズ20『文字と社会』
ぎょうせい,A5版112ページ 定価500円(税込)
私たちの暮らしや社会は「文字」に支えられています。日本全国で,様々な文字が用いられています。
文字は人間の「脳」や「心」にも影響を及ぼしているようです。ゲーム機に搭載された漢字ドリルが高齢者の皆さんに歓迎されていることからも明らかなように,文字に対する世の中の関心は高いものがあります。
この号は「文字と社会」のほかに「人間」とのかかわりをめぐる話題も提供し,心豊かな言語生活を楽しむために作られました。
文化や学術研究の話題に加えて,全国の行政窓口などで行われている実務(戸籍業務など)にも直結した解説を準備しました。
1.巻頭エッセイ「私の文字生活」
阿刀田高氏(作家)によるエッセイ。
2.座談会「放送現場の文字,心に伝わる文字,強い言葉」
文字は生きて変化しつつある「ことばの小宇宙」です。その不思議な魅力についての鼎談(ていだん)を掲載しました。
・『バカの壁』の著者である養老孟司氏(解剖学者)
・桜井洋子氏( NHKアナウンサー)
・杉戸清樹(司会,国立国語研究所長)
座談会で出た話題をいくつか紹介しましょう。
【問】 NHKアナウンサーが読んでいるニュース原稿は,「縦書き」でしょうか,それとも「横書き」でしょうか?
【問】手書きの効用は?
【問】「クオリア」とは何でしょうか?
(答えは座談会の記事のなかにあります。)
3.問答形式の解説「ことば事情」
「放送と漢字」(柴田実氏:NHK放送文化研究所),「教科書の文字」(小椋秀樹:国立国語研究所),「公共サービスの文字」(高田智和:国立国語研究所)の3本立て。
「放送と漢字」は,次のような疑問に答えます。
「教科書の文字」は以下のような話題を取り上げます。学校教育の現場で,漢字学習の指導などに役に立つものと思います。
「公共サービスの文字」は住民基本台帳や戸籍の文字について国立国語研究所が行った最新の研究成果を紹介します。
4.問答集「ことばの質問 BOX」
次のような15の質問に新野直哉(国立国語研究所)など数名の専門家がお答えします。
5.コラム
「文字と失語症」(横山詔一:国立国語研究所)と「オーノ氏の懊悩(おうのう)に満ちた選択」(宇佐美洋:国立国語研究所)の2本。
6.外国人から見た日本語「ことばと社会」
ドイツ-日本研究所の研究員である P.バックハウス氏が,東京の山手線28駅で調査したデータを
「公共文字と日本の多言語化-東京の言語景観を事例に」に掲載しました。
あわせて,ドイツ-日本研究所でのインタビュー記事も御覧ください。
(横山 詔一)
新「ことば」シリーズ:http://www.kokken.go.jp/kanko/shin_kotoba_series/
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。