国語研の窓

第35号(2008年4月1日発行)

刊行物紹介:新「ことば」シリーズ 21『私たちと敬語』

国立国語研究所編,ぎょうせい刊

新「ことば」シリーズとは

国立国語研究所では,国民の皆さまに日本語について興味や関心を持っていただく目的で,『新「ことば」シリーズ』という普及書を毎年刊行しています。一般書店で販売するとともに,全国の学校や公民館等への無償配布も行っています。

新「ことば」シリーズ 21『私たちと敬語』

本書は,一般書店で購入できます。
新「ことば」シリーズ21『私たちと敬語』
ぎょうせい,A5判128ページ
定価500円(税込)

 

シリーズ21のテーマ

今年3月発行の『新「ことば」シリーズ』21は,平成19(2007)年2月に文化審議会から「敬語の指針」が答申されたことを受けて,テーマを「私たちと敬語」としました。私たちの言語生活に身近な敬語,しかしその一方で難しさも伴う敬語について,改めて考えます。

内容

(1)巻頭エッセイ「敬語は社会性の中にある」

日本語についての執筆も多い作家・清水義範氏によるエッセイ。

(2)座談会「敬語の働きと難しさ」

NHK「ラジオ深夜便」で番組ゲストや聴取者と日々言葉を使って仕事をしているアナウンサー・宇田川清江氏と,敬語コミュニケーションの研究を専門とし文化審議会国語分科会委員及び敬語小委員会副主査を務めた早稲田大学教授・蒲谷宏氏においでいただき,敬語の働きと難しさについて語っていただきました。司会は国立国語研究所長・杉戸清樹。

(3)ことばの質問箱I

「敬語の指針」に直接かかわる事柄について一問一答形式で解説しています。前半は「敬語の指針」そのものについて,文化審議会国語分科会委員及び敬語小委員会ワーキンググループ委員として答申に携わった東京大学教授・菊地康人氏に解説していただきました。後半は学校教育での「敬語の指針」の活用や指導等について,文化審議会国語分科会委員として携わった目黒区立第八中学校長・松村由紀子氏に解説していただきました。

(4)ことばの質問箱II

敬語に関するさまざまな疑問について一問一答形式で解説しています。誤りやすい敬語の使用実態とその背景はどうなのか,敬語に関する意識はどう変化しているのか,方言にはどのような敬語が見られるのか,英語や韓国語など外国語の敬語は日本語の敬語と比べどうなのか,などについて解説しています。

(5)巻末資料 文化審議会答申「敬語の指針」(抄)

「敬語の指針」を資料として掲載しました。なお,紙幅の都合で「第3章 敬語の具体的な使い方」は割愛しました。「敬語の指針」は文化庁ホームページで閲覧・ダウンロードができます。

新「ことば」シリーズ:http://www.kokken.go.jp/kanko/shin_kotoba_series/

(尾崎 喜光)

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。