国語研の窓

第35号(2008年4月1日発行)

『日本語ブックレット2006』紹介

『日本語ブックレット2006』:http://www.ninjal.ac.jp/archives/nihongo_bt/2006/

Webブラウザで閲覧できます。また,PDF版をダウンロードして閲覧することもできます。

「日本語ブックレット2006」トップ

『日本語ブックレット』は,日本語に関する動向や資料を分かりやすい形で広く提供することを目指し,平成17年度より毎年,電子版として定期刊行しています。

今回刊行した『日本語ブックレット2006』は,平成18(2006)年の日本語をめぐる動きをまとめたものです。図書,総合雑誌記事,新聞記事といった3種類の資料をもとに,第1部<動向>では日本語をめぐる状況の記述を,第2部<文献目録>では日本語関連の図書・記事のデータを掲載しました。

なお,第1部では,3種類の資料それぞれについて,2006年1年間の状況・傾向を全体的に記述し(概観),その中からトピックを取り上げて,より詳しく述べています。さらにそれぞれのトピックに関係する図書や記事の情報を,第2部のデータから抽出して,関連文献情報として示しました。また第2部の文献一覧では,3資料の文献データを一覧することができます。同じく文献検索では,2007年3月に刊行した『日本語ブックレット2005』の文献データと併せて,2年分の3資料のデータを横断的に(または,資料を選択して)自由に検索することができます。

それでは,実際に2006年の動向としてどのような点が注目されたかを,第1部で見ていきましょう。

前年の2005年は,前半は日本語関係の本2タイトルがベストセラー上位に名を列ね,夏には若い世代の「方言ブーム」がマスコミで注目され,秋にはテレビで言葉に関するクイズ番組が一斉に始まるなど,日本語に関する話題が絶えない年になりました。それに比べると,2006年はこの点については「静かな年」であったといえます。

まず図書では,国語教育の重要性にもふれた,藤原正彦著『国家の品格』(新潮社)がベストセラーになりましたが,言葉そのものについて論じたベストセラーは生まれませんでした。その一方,辞書をめぐっては,書籍体の辞書とウェブ上のサービスの連動や,情報をウェブ上などで一般から募集するという辞書への一般参加,さらにウェブ上の一般参加型百科事典『ウィキペディア』が大きな注目を集めるようになるなど,いくつかの新しい動きが見られました。

総合雑誌記事では,早期英語教育の是非や,学力低下への対応策をめぐる教育論議の中で,国語教育・国語力の重要性が説かれることが多くなっており,その立場に立つ藤原正彦氏が各誌に登場しています。インターネットとテレビという新旧の代表的マスメディアと言語生活の関連についての記事も見られます。また日本語に関する記事を掲載する特集は,44タイトルが組まれました。

新聞記事では,小学校での必修化やセンター試験でのリスニングの導入といった英語教育をめぐる状況,「ゆとり教育」からの転換など教育の見直しと「言葉の力」への注目,「手書き」本の人気や「ケータイ小説」の成長といった出版・読書状況,在日外国人への日本語教育をめぐる状況,国際放送の強化などマスメディアでの動き,文化審議会の審議に関連した敬語に関する話題などに関する記事が目立っています。

この『日本語ブックレット』が日本語に関する情報源の一つとして皆様の言語生活に役立つものとなるよう,今後さらに改良を重ねていきたいと考えています。

(新野 直哉)

「日本語ブックレット2006」紹介

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。