新型コロナウイルスのせいで人と会話する機会が減った昨今、こどもたちが安心して暮らせる未来のために、今、大人ができることはなんでしょうか。
「SDGs」(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)を中心に新しい毎日を提案する番組、TOKYO FM『サステナ*デイズ』に、国立国語研究所の宇佐美まゆみ 教授(日本語教育研究領域)が出演しました。
2021年1月28日放送の同番組は「ことばの中に探すSDGs~ことばの力でみんなに優しいくらしを~」をテーマに、「ことば」が持つチカラについて考えていくものとなりました。
案内役の小野寺愛さんによると、最近、宇佐美教授の1997年の著書『言葉は社会を変えられる―21世紀の多文化共生社会に向けて―』が「心にささった」とのことです。みんなが幸せに暮らせる世界を作るために、今、どんなことを意識してことばを選んだらいいのでしょうか。小野寺さんの質問に宇佐美教授が答えています。当日の音声は以下のサイトで公開されていますので、ぜひ聴いてみてくださいね。
番組収録では、ディレクター、パーソナリティーの方々と話が盛り上がりました。とりわけ『言葉は社会を変えられる―21世紀の多文化共生社会に向けて―』という1997年に出版した拙著の内容は、「今、読んでも新しい!」という話になり、番組ホームページにも大きく掲載してくださっています。
ここでは、「日本語の問題」として、いわゆる「女ことば」(女性に関わることば、女々しい等、「方言」(差別があった頃も……)、「PC(ポリティカルコレクトネス)」(ことばを通した差別是正)、「ポライトネスと敬語」という4つのテーマについて、その分野の研究者と対談した雑誌の連載を、本にしたものです。「21世紀の多文化共生社会に向けて」、ことばの面からも、いろいろな点を改善していく必要があるということを訴えていたものです。
その問題が、「今も古びていない」ということは、裏を返せば、未だ、改善が十分できているとは言えないということでもあり、複雑な心境です。四半世紀前の主張ですから、私としては、今の若い人たちに、「私たちの若かった頃には、今の時代には考えられないような、こんな問題があったのですよ」と過去のこととして、話したかったような気もします。
番組名 | TOKYO FM『サステナ*デイズ』(2021年1月28日) 番組制作 : イー・エー・ユー株式会社( https://www.eau.co.jp) |
今日の テーマ |
ことばの中に探すSDGs ~ことばの力でみんなに優しいくらしを~ |
記事 | AuDee『サステナ*デイズ』「言葉はその人自身でもある」国立国語研究所の教授・宇佐美まゆみさん(https://audee.jp/news/show/75756) |
音声 視聴先 |
AuDee「サステナ*デイズ 2021年1月28日 第43回放送音声」(https://audee.jp/voice/show/27616) |
関連書籍 | 宇佐美まゆみ(1997)『言葉は社会を変えられる―21世紀の多文化共生社会に向けて―』 明石書店 (https://www.akashi.co.jp/book/b63930.html) |
登場する 研究者 |
宇佐美まゆみ (日本語教育研究領域) |
2021年3月13日(土)、第45回社会言語科学会研究大会にて、宇佐美まゆみ教授のSDGsに関するワークショップ「ウィズコロナ時代のコミュニケーションを考える ―SDGsの達成に向けて社会言語科学に何ができるか―」が行われます(有料)。詳細は下記のページをご覧ください。
番組ディレクターの方が宇佐美教授の講演動画「ていねいさは世界共通か?」をご覧になったことがきっかけで、出演を依頼されたそうです。※ 国立国語研究所の動画「NINJALフォーラム」シリーズは、一般の方を対象とした内容となっています。