女子中高生が使う流行り言葉は、どういう広がり方をしているのでしょうか(Twitter?口コミ?テレビ?)。
2018年11月30日に発表された「JC・JK流行語大賞2018」(株式会社AMF)のコトバ部門は「1位タピる、2位あげみざわ、3位どこまでいっても渋谷は日本の東京、4位TikToker、5位インスタ萎え」でした。また、1年前の「JC・JK流行語大賞2017」コトバ部門は「1位〇〇み、2位熱盛、3位彼女感、4位まじ卍、5位ンゴ」でした。みなさんはこれらの言葉を聞いたことがありますか?意味がわかりますか?ご自分で使いますか?
この賞のタイトルにあるJCは女子中学生を、JKは女子高校生を表す新語(「新しく造られ、または使われだしたことば」(『広辞苑』第七版))で、これ自体が流行語ということもできるでしょう。親の世代は使わないような言葉は「若者語」「若者ことば」などと呼ばれますが、女子中高生が使う流行り言葉もその「若者語」の一部といえます。
2011年頃、若者語の地域差と普及過程の関係に関する全国規模の大学生対象の調査が行われました(鑓水兼貴「「全国若者語調査」結果概観」ほか)。
図は、その結果わかった都市の中心部から周辺部への伝播の様子を表したもので、若者語はまず東京(中心部)から地方の大都市(周辺部)へと伝わり(A)、さらにその大都市(中心部)から周辺の小都市(周辺部)へと伝わる(B)、と考えられるそうです。ただし、中心地の規模が大きい場合には、メディア等によって小都市に直接影響を与えたり(C)、大都市同士が影響を与え合うこともある(D)のだそうです(鑓水「「全国若者語調査」結果概観」)。」
さて、冒頭にあげた流行語大賞に選ばれた言葉を使うのはどのような場面でしょう。誰かと話しているときに使うのでしょうか。TVや新聞・雑誌などのマスメディアで見聞きするものでしょうか。それとも、スマホやケータイを使ってLINEやTwitterなどでやりとりするときに使うのでしょうか。
1995年にインターネットが一般に利用され始め、2008年にTwitterが、2011年にLINEが使われ始めました。これらのソーシャル・メディアの中学生・高校生による利用についての調査(総務省情報通信政策研究所「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査 報告書 」、「中学生のインターネットの利用状況と依存傾向に関する調査
」では、その利用目的は、中学生も高校生も「友だちや知り合いとコミュニケーションをとるため」が最も多い回答となっています。つまり、従来のおしゃべりや電話の「話し言葉」に加えて、ソーシャル・メディアの「打ち言葉」が利用されていることがわかります。
2018年の流行語大賞コトバ部門の1位から5位は、すべてTwitterのハッシュタグ(キーワード)で検索できることから、Twitterで広まっている可能性がうかがえます。4位の「TikToker」はTikTok(動画共有アプリ)に、5位の「インスタ萎え」はInstagram(写真共有アプリ)に関わる語ですが、これらのアプリでもTwitter同様ハッシュタグを付けることができ、動画や写真の投稿だけでなく「言葉によるコミュニケーション」が可能です。このようなアプリの人気を考えると、今後ももっぱらソーシャル・メディアで広まる流行語もあるのかもしれません。