2024年6月15日(土)に、和歌山県和歌山市にある和歌山市民図書館で国立国語研究所の出前授業が行われました。「つくってあそんで辞書カルタ~ことば博士になろう~」というテーマで、国立国語研究所准教授の柏野和佳子先生が、出張訪問して授業を行いました。

和歌山市駅(南海電鉄)を出てすぐアクセスできるこちらの市民図書館ですが、2020年にこの場所へ移転・開館とのことで、外観も館内も非常にモダンな雰囲気です。



当日の授業は小学1・2年生のクラス(13:30~14:30、15名)と、小学3年生以上のクラス(15:00~16:00、7名)の2回に分けて行われました。2回に分けて開催されたことで、お子さんの辞書を引くスピードにあわせて進めることができたように思います。授業開始時間が近づくにつれ、続々と保護者の方とお子さんたちが入ってきます。走って入ってきたお子さんもいれば、保護者の方に連れられるように、はにかみながら入ってくるお子さんもいました。
今回の出前授業は辞書引きの授業ですが、ひたすら辞書引きをするのではなく、ことば並べゲームをやったり、カルタゲームをやったり、自分でカルタを作ったりして、辞書引きの練習をしながら、遊び感覚で知識が深まっていく授業です。そのため教室には、辞書に加えて、授業用のプリント、無地カルタとカラーペンなどが用意されています。教室に入ってきたお子さんたちの中には、このような多彩な道具に一瞬で興味をひかれたお子さんもいました。


参加者と保護者たちが揃ったところで、授業が始まりました。
最初に、柏野先生は事前に用意したいくつかの単語が書かれたカードを出し、「これらのことばはどういう順番で辞書に載っているかな」と問いかけました。「前に来て並べ替えてみてください」と、柏野先生はお子さんたちにゲームに参加することを呼びかけます。一瞬顔を見合わせて戸惑うお子さんもいましたが、ためらいながらもホワイトボードの前に集まりました。

1周目の「うす(臼)」、「いし(石)」、「えき(駅)」、「おと(音)」の並べ替えは簡単そうに取り組んだお子さんたちも、4周目の「小躍り」、「呼応(こおう)」、「氷(こおり)」、「コーラ」、「コート」のカードを見ると、ついつい首を傾げてしまいます。柏野先生のヒントで正しく並べ替えたところで、拍手が送られていました。
続けて、「私たちは毎日ことばを使っているけれど、一つのことばには一つの意味しかないかな?」と柏野先生はお子さんたちへ問いかけます。

「明日天気になぁ~れ!」の天気はどの天気?
「鍋を食べる」というのは、鉄やアルミで作った鍋そのものを食べますか? それとも鍋の中の具材を食べますか?
「手を叩く」ときの「手」と、「手を挙げる」ときの「手」は、同じ部位ですか?
このように柏野先生は、私たちが普段使っていることばの意味が広くなったり、狭くなったりすることがあると、お子さんたちに気づいてもらえるように説明しました。それを聞いて、お子さんだけではなく、後列から見学していた保護者の方も、思わず「はっ!」としてうなずく方が何人かいました。
そもそも辞書で何が分かるのか、なんて考えてみたことがある方は多くないかもしれません。柏野先生が作成した資料には、「辞書は、知っているつもりでもじつはよく知らなかったことに気づくものであり、ことばの意味や使い方を学ぶためにあるものです」との説明が載っています。私たちは普段、特に疑問を持たずにことばを使っていますが、よく観察してみると、驚きが隠れていることが分かります。
さらに質問は続きます。
「ワニの…」、「バナナの….」、「化けの…」、「肉まんの…」に続く共通のことば何?
「皮!」。だんだん要領を得てきたお子さんたちは、先生からの質問に次から次へと積極的に答えていきます。
授業の後半には、お子さんたちに「辞書カルタ」を使った参加型ゲームをやってもらいました。各グループにことばのカルタを5枚ずつ配り、グループに配置されたインストラクターがそれぞれのことばの意味(語釈)を読みます。読まれた意味に対応することばの札を取るというカルタ遊びです。インストラクターが意味を読み終えていないうちに、お子さんたちは競って目当てのカルタに手を置いていきました。

ひとしきりカルタ取りで盛り上がった後は、お子さんたち自身でカルタを作る体験をしてもらいました。「自分で好きなことばを考えて、辞書でのその意味を調べて、カルタを作ってみてください」と、会場のお子さんたちに促します。

お子さんたちが作成したカルタは次のようなものです。




すごい! ことば選びも辞書調べもよくできていて、それに絵にもセンスを感じます。
オリジナルカルタを作り終わったところで1時間の授業は終了です。授業後に、国語研スタッフが「週末はよく来るの?」とお子さんに尋ねたところ、頷きながら「うん」と答えてくれました。来場したお子さんたちにとって、素敵な図書館での今日の経験が、「良い思い出」になるように願います。当日ご参加くださった皆さま、どうもありがとうございました。