Vol. 15-2 (2026年3月公開)
国立国語研究所の研究者が関わった書籍を紹介します(2025年7~12月発行)

落合哉人〈著〉
ひつじ書房、2025年7月
近年の日本語研究では、インターネットを介して伝えられることばを、話しことばでも書きことばでもない「打ちことば」と呼ぶ動きがあります。しかし、実例の分析は未だ少なく、特性の違う複数のソフトウェアやサービスのことばをどのように比較できるかという点からして内実はわかっていません。本書は、「打ちことば」の典型とされる2000年代の携帯メールと2010年代のLINEの比較を中心に、言語使用の本格的な実態把握を行う初の試みです。インターネットを介した多様なことばの実態を捉える研究の出発点となることを願っています。

菊澤律子、小磯花絵、朝日祥之〈編〉
文学通信、2025年7月
本書は、障害の有無や言語・文化の違いを超えて、誰もが対等に参加できる「コミュニケーション共生社会」の実現を目指す新しい学問分野〈コミュニケーション共生科学〉を紹介するブックレットです。日常にあふれる会話や仕事のやりとりを手がかりに、「コミュニケーションとは何か」をあらためて問い直します。多様な特性をもつ人々が直面する課題を見つめつつ、研究者と当事者が共に取り組む実践例を通して、誰にとってもやさしい社会への道筋を、身近な視点から描き出します。

志賀玲子、世良時子〈編著〉、佐野彩子、本多由美子ほか〈著〉
くろしお出版、2025年9月
日本で暮らす外国人が増え、在住の目的も多様化する中、日本語教育の必要性が高まっています。この状況を受けて2024年4月に日本語教師の国家資格「登録日本語教員」が創設され、国から認定された日本語教育機関で日本語指導を行う教員は、この資格の取得が必須となりました。この制度のねらいは、教育の質と教員の専門性を保証し、教員の社会的地位向上を図ることです。本書は、この国家資格取得の要件の一つとなる「日本語教員試験」の対策問題集です。資格取得の先にある、現場で求められる知識や考え方も学べる内容になっています。

西村義樹〈監修〉、山泉実、窪田悠介〈編著〉
大修館書店、2025年12月
「理論言語学研究が隘路に陥っている」。5年ほど前そんな思いを抱いていた窪田は、大学院で同期だった山泉実さんと15年ぶりに再会し意気投合しました。どちらから言い出すともなく、各分野で活躍している方々に声をかけ一気呵成に作った本です。言語学とはどういう学問なのかをメタ的に考察するのが大きな主題です。論点は複雑に絡み合い、簡単に答えが出ない問題が繰り返し各章で問い直されます。読みやすい本ではないと思いますが、読者の皆様が思索を深めることの一助となればとの思いで、我々の持てるものをすべて注ぎ込みました。

小木曽智信、山崎誠〈監〉、石黒圭、烏日哲〈編著〉、呉楚琦、井上雄太、李琦、朱雅蘭、工藤隆弘、中村有里、江澤実紀、髙橋香菜、Lai Thanh Hoa、本多由美子、山口昌也ほか〈著〉
研究社、2025年12月
私たちのプロジェクトでは、言語学習者の経年的な習得過程を追跡する、世界的にも未曽有のコーパスを構築しており、近日公開予定です。この『日本語学習者縦断作文コーパス(W-CoLeJa)』を私たちがどのような理念に基づいて構想し、データの収集・整備を重ね、公開にこぎつけたのかを示したのが本書です。学習者コーパスの開発から教育・研究への活用まで、初学者に必須の項目をぎっしり詰め込みました。学習者コーパスを教室活動に役立てたい教育者、また、学習者コーパスの開発を志す研究者にぜひ読んでいただきたい内容が満載の一冊です。
横山晶子、セリック・ケナン、五十嵐陽介、谷口ジョイ〈編〉
国立国語研究所、2025年7月

本多正識〈著〉、石黒圭〈監〉
KADOKAWA、2025年8月

たんにゃむに辞書編集委員会〈編〉
国立国語研究所、2025年8月

石黒圭〈監〉、ささきあり〈作〉
西東社、2025年9月

ケヴィン・P・マーフィー〈著〉、持橋大地ほか〈監訳〉、
持橋大地、横井祥ほか〈訳〉
朝倉書店、2025年11月

ケヴィン・P・マーフィー〈著〉、持橋大地ほか〈監訳〉、
持橋大地、横井祥ほか〈訳〉
朝倉書店、2025年11月
