第4号(2000年7月1日発行)
「やゝ」や「人々」と書く場合の「ゝ」や「々」などは、何と読むのでしょう。また、どのような種類があり、その使い方に決まりはあるのでしょうか。
文字ではなく符号で、決まった読み方はありません。普通、まとめて「繰り返し符号」あるいは「踊り字」などと呼び、右のように呼び分けることもあります。
符号ごとに使い方が決まっています。仮名の繰り返しには「ゝ」「ヽ」(「こゝろ」「たゞ」「ハヽヽ」など)、漢字の繰り返しには普通「々」が用いられますが(「段々」「正々堂々」など)、「
(しばしば)」「愈
(いよいよ)」など、一部の決まった単語には「
」を使うこともあります。以上は、一字の繰り返しの場合ですが、二字以上の場合は「くの字点」が使われます。
繰り返し符号は、一つの単語のなかで繰り返しに限って使い、「いままで」「民主主義」のように二つの単語にまたがる場合に「いまゝで」「民主々義」と書くことは望ましくありません。正式の文章には、繰り返し符号をあまり用いない方がよいという意見もありますが、最近では、抵抗なく使われているようです。ただ、「 」や「くの字点」は、横書きでは使いにくいですし、パソコンやワープロで変換するのが簡単ではありませんから、次第に使われにくくなってきています。
より詳しい基準は、文化庁編『言葉に関する問答集 総集編』(大蔵省印刷局発行)所収の、「くりかへし符号の使ひ方〔をどり字法〕(案)昭和21.3」を参照してください。
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。