第18号(2004年1月1日発行)
国立国語研究所では, 毎年, 海外から研究者を招いて, 日本語や言語そのものについて議論する国際シンポジウムを開いています。
平成15年度は「世界の<外来語>問題の多様性」と題して行います。
世界各地の言語社会では, それまでになかった新しい物や事柄を表現するために, その社会の主な言語 (公用語や国語) の中へ別の言語から単語や言葉遣いを借り入れたり, 自前で新しい単語を作ったりする様々な工夫をしています。
日本でも, 古く奈良時代以前には中国から漢語を借り入れたり, 幕末や明治維新の頃には西欧の言葉を漢語に翻訳する努力をしたり, 現代では西欧の言葉をカタカナで表記して 「外来語」 として取り入れたり, そのつど色々な工夫をしてきました。
さて, 世界の国々では今, 言葉についてどのような工夫がされているのでしょうか? また, その工夫から生まれた言葉は, 日本語の外来語とどのような共通点や違いを持っているのでしょうか?
今回のシンポジウムでは, 漢語のふるさと中国, その漢語をたくさん取り入れた韓国, かつて漢字文化圏だったベトナム, 植民地時代に英語が主流だったアフリカのタンザニア, 北欧で自国語を保つ努力を続けるアイスランドなどから講演者を招く予定です。 それぞれの社会事情や言語事情に応じた言葉の工夫について, 現状や抱える問題を紹介し合って, 互いの今後に役立つ議論をするのが目的です。
日本では, 以前から 「分かりにくい外来語」 が議論の的になっています。 この議論のためには, ただ日本語のことだけを考えるのでなく, 他の国々の様子を知ることが役立つはずです。
全体会 2004年3月21日(日)
会場:よみうりホール (東京有楽町)
分科会 2004年3月23日(火)・24日(水)
会場:朝日スクエア (東京有楽町)
詳しい内容や参加申し込みの方法は, 1月中旬に国語研究所ホームページや雑誌・ポスターなどで御案内する予定です。
第11回国際シンポジウム:http://www.ninjal.ac.jp/archives/event_past/kokusai_sympo/dai11/
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。