Vol. 2 (2017年9月発行)
このテキストの特徴は、「問い」を基本に構成されているところにあります。ヒントに導かれながら、まさに「日本語を分析するレッスン」が進んでいきます。発展問題の課題も含めると全15レッスン(章)に実に250問以上。良問がてんこ盛りです。想定される使い方は、「大学や短大の初年次教育科目や言語関係の基礎科目」におけるグループワークとされています。専門知識がなくても取り組むことができるので、好きなトピックを選んで、小中高の国語科教育に取り入れることもできそうです(偶然、評者はある問題を小学校6年生の教室で扱ったことがありますが、大いに盛り上がりました)。
設定された問いは、現象を観察する「どうなっている?」「どのような例がある?」というタイプのものだけでなく、「なぜ?」「どうすればいい?」という深いレベルへと展開していきます。多くの学生が既に持っている経験に“謎”を見出し、「うまくことばにするのが難しい」というもどかしさを感じつつも、ワイワイとみんなで意見交換しながら“答え”を探していく。そんな教室が思い浮かびます。「しりとり」から「外国の人の日本語」まで、豊かで不思議な日本語の世界を体感できるテキストです。
▶茂木俊伸(熊本大学)