国立国語研究所では、小・中学生に「ことばっておもしろい」と感じていただけるようなプログラムを実施しています。2025年5月7日(水)、柏野和佳子教授が横浜市の捜真女学校を訪問し、「めざせ! 辞書引きの達人」というテーマで中学1年生の皆さん(4クラス)に出前授業を実施しました。


生徒の皆さんが最初に取り組んだのは、国語辞典の見出し語の順番どおりにことばを並びかえるカード問題。「番(ばん)」と「判子(はんこ)」ではどちらが先でしょうか。改めて聞かれると迷ってしまうかもしれません。

「コート」「ねまき」「うわぎ」「着物」…最も広い概念を表していることばはどれでしょうか、といった問題にも挑戦。

「やばい」は元々、悪い意味で使われることばでしたが、今では良い意味や強調の意味でも使われます。実は「すごい」も、かつては怖い意味で使われていたのですが、今では強調の意味で使われることがほとんどです。「すごみを利かせる」というと脅す意味になるところに、その痕跡が残っていますね。

国語辞典をいったん閉じ、国語辞典と勝負!「雲」や「前」などのことばの意味(語釈)を自分で考えます。「雲」の説明として、水で出来ていることだったり、空に浮かんでいることだったり、みなさんの着眼点が光る発表でした。

再び、国語辞典を開きます。「かお」「め」「くち」、最も多くの意味が載っていることばはどれかを予想してから辞典を引きます。予想は外れたけれどもこんな意味もあったか、と楽しんでいる生徒の皆さんの姿が印象的でした。

授業の締めくくりに、生徒の皆さんに「とる」を引いていただきました。「取る」「捕る」「執る」など、様々な「とる」がありますが、辞典によって、一つの見出し語の中で説明していたり、個別に見出し語を立てていたり、といった違いがあります。ことばの意味をどこまで細かく書き分けるかも異なり、柏野教授から、ある国語辞典では、「とる」の意味が50以上に書き分けられていると説明があると、生徒の皆さんから驚きの声が上がっていました。
辞典ごとに個性があり、引き比べてみることで、同じことばでも新しい発見があると感じていただけたようです。4クラスとも生徒のみなさんがとても積極的で、授業をする側にとっても楽しい時間になりました。捜真女学校のみなさまにお礼申し上げます。