第33号(2007年10月1日発行)
国立国語研究所は,設立以来,方言の研究に取り組んできました。中でも『日本言語地図』全6巻(1974年完成)と『方言文法全国地図』全6巻(2006年完成)はその代表的な研究成果です。
この二つの地図集の作成には,表紙の写真のようなゴム印が活躍しました。ゴム印は,地図の上でことばの形を記号化して表現するために用いるものです。たとえば下の地図は「蛙を何と呼ぶか」を表すものですがKAERUと言う地点には △(水色)の記号が置かれています。しかし場所によって呼び方が違うことは,同じ地図にその他のいろいろな記号が置かれていることからもわかります。記号はゴム印を用いて白地図に手作業で押して,印刷のための原稿地図を作ります。ここに載せた地図はそのようにして作成された一例です。
『方言文法全国地図』の第5集からはコンピュータにより地図が作成されることになり,ゴム印の役割は終わりました。
『日本言語地図』第5集218図「かえる(蛙)」より九州の北部を拡大
方言文法全国地図:http://www2.kokken.go.jp/hogen/outline/gaj/gaj_index.html
『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。