国語研の窓

第13号(2002年10月1日発行)

暮らしに生きることば

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みなさんは,「アーカイブズ」という言葉を聞いたことがありますか?

アーカイブズ(archives)とは,組織や個人が作成した文書や記録を取捨選択し,将来も利用できるように整理・保存しているもののことです。保存のための施設もアーカイブズと言います。

身近なところでは,自治体の「文書館」や「公文書館」が役所のアーカイブズ施設で,そこに収蔵されているのがアーカイブズ資料です。国語研究所のある東京都にも,保存年限が過ぎた都庁の公文書を保存する「東京都公文書館」があります。

「アーカイブズ」というと,横文字なので,いかにも外国から入ってきた考え方のように思われるかもしれません。しかし,組織や個人が活動を行った記録を将来の参考のために残したいと思う気持ちには,古今東西,変わりはありません。古いものとしてはメソポタミアのアーカイブズが知られていますが,日本も文書の残存量では世界有数です。これは,幕府であれ名主の家であれ,仕事の際に作られた文書を大切に保存し,仕事の内容を伝えていくという伝統があったからです。

アーカイブズ資料は,長いこと「紙に文字が書かれたもの」がほとんどでした。紙の資料は,一目で中身が分かり,整理するのも容易です。けれども,現代は,写真や録音・録画資料,そしてコンピュータで作成されるデジタル文書といった,紙以外の資料が大量に作成される時代です。アーカイブズの研究では,こうした新しい形の資料をどのように整理・保存すれば,将来にわたって使いやすくできるかということが重要な課題になっています。

国語研究所にも,生きた「ことば」の記録がたくさん残されていますが,その形は多種多様です。アーカイブズ研究の成果を活用しつつ,その保存をはかっていきたいと思っています。

(森本 祥子)

『国語研の窓』は1999年~2009年に発行された広報誌です。記事内のデータやURLは全て発行当時のものです。