外国人と日本語で話すとき、気をつけなければいけない点を教えてください。
たとえば、役所で説明を受けるとき、こんな話し方をされたら、みなさんはどう思われますか。
日本語母語話者のみなさんにとっては、特に理解するのが難しいものではないかもしれません。しかし、日本語にまだあまり慣れていない外国人にとっては、このような話し方はわかりにくいようです。では、どんな話し方が外国人にとってわかりやすいのでしょうか。外国人と話すときの話し方として参考になるのは、「外国人に慣れている人の話し方」です。
外国人に慣れている人(毎日日本語で外国人とコミュニケーションをしている人)と慣れていない人(外国人とほとんど会話したことがない人)を比べた調査(栁田直美『接触場面における母語話者のコミュニケーション方略―情報やりとり方略の学習に着目して』)から、外国人に慣れている人は、外国人と話すときに以下のような方法を多く使っていたことがわかりました。
この方法を使うと、最初の例は以下のようになります。
あと、この制度を利用しますか?(はい)じゃ、ここに書類があります。ここに記入してください。まず、今日は受付をします。ここまで大丈夫ですか。
また、外国人に慣れている人は相手の話を聞く時に以下のような方法を使っていました。
このような方法は、外国人とコミュニケーションをとるために有効であるとされています。
では、外国人は日本人と話すとき、日本人の話し方の何を重視しているのでしょうか。栁田直美の調査(「母語話者の「説明」に対する非母語話者の評価観点」)から、A.積極的な参加態度、B.落ち着いた態度、C.相手に合わせた説明、D.外国人向けの説明、E.文法や言葉の説明、という五つの観点のうち、外国人はA、B、Cをより重視していることがわかりました。
そこで、外国人と話すときはまず、①会話に積極的に参加していることを示すこと、②リラックスして話すこと、③相手に合わせて自分の話し方を調整すること、の三つを心構えとして持ってください。これは、外国人・日本人いずれが相手でも、コミュニケーションの基本でしょう。そして、③相手に合わせて自分の話し方を調整するときに、相手の日本語レベルがあまり高くない場合は、上に挙げたような外国人に慣れている人が使っている方法((1)~(7))を使ってみることをお勧めします。
コミュニケーションを大切にする態度と少しのテクニックで、外国人との会話がもっとうまくいくはずです。