Vol. 3 (2018年3月発行)

作文指導ないし作文添削というのは、日本語教師には避けて通れないものである。一方で、人様の文章をどうこう言えるほど、自分は文章がわかっていると言えるのだろうかという悩みも併せ持つ。こうした不安に答えるため、本書では日本語母語話者、中国人日本語学習者、韓国人日本語学習者がそれぞれ書いた計180本の作文をデータとして分析を進める。本書の最大の特徴は、実際の作文(しかもジャンルをまたぐ横断的データ)に基づいているという点である。ただし、データを計量的に見るだけでは、良い作文とは何かは見えてこない。本書では「読み手に優しい文章」の条件として、
の三つを設定して議論が進められる。作文だけではなく、それを読む人間も見ようというわけである。しかも、そこに学習者の「今」だけではなく、初級、中級、上級という学習者の成長過程を縦断するシラバスをにらんでいる点が素晴らしい。
漠然と抱えている作文添削への不安を解消するため、見取り図を与えることにより、「実はこうなっていた」を見せる。本書はそんな論文集である。
▶森篤嗣(京都外国語大学)