ことばの波止場

Vol. 12-1 (2022年10月公開)

書籍紹介

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国立国語研究所の研究者が関わった書籍を紹介します(2022年1~6月発行)

言語コミュニケーションの多様性

言語コミュニケーションの多様性 書影

窪薗晴夫、朝日祥之〈編〉、くろしお出版、2022年3月

本書は2020年10月に開催されたNINJALシンポジウム「言語コミュニケーションの多様性」における基調講演とワークショップ(「配慮の表現・行動から見るコミュニケーションの諸相」「コミュニケーションの諸相」)の成果をまとめたものです。国語研が構築してきた各種コーパス、在外資料などの言語資源を活用した考察から、日本語学習者や障害のある人、さらには外国との比較などに視点を広げた考察まで、言語とコミュニケーションに関わる幅広いテーマが扱われています。

▶朝日祥之(国立国語研究所)

フレーム意味論の貢献―動詞とその周辺―

フレーム意味論の貢献―動詞とその周辺 書影

松本曜、小原京子〈編〉、開拓社、2022年3月

アメリカの言語学者チャールズ・J. フィルモアが1970年代に提案した「フレーム」という概念は、ほぼ半世紀を経て、意味論においてその重要性がますます注目されています。フレームとは、言語表現の背後にあるさまざまな世界知識を指します。本書には、多義性・反義性といった意味論の基本的問題、またイディオムや構文の意味、さらには語構造の意味に関わる諸問題に、フレームの概念がどのような解決を与えるのか、14人の気鋭の学者が取り組んだ研究成果がまとめられています。

▶松本曜(国立国語研究所)

日本語の格表現

日本語の格表現 書影

木部暢子、竹内史郎、下地理則〈編〉、くろしお出版、2022年3月

本書は、日本語の格標示に関する諸問題を、古典語、方言、通言語的な観点から多角的に考察した論文集です。昨今、日本語の格標示に関する研究は、これまでの標準語中心の議論を乗り越え、方言間変異、日本語史、情報構造などの隣接諸分野の知見を取り込みながら発展しつつあります。本書はこの最新の研究動向を反映し、多様な執筆陣が、その理論的立場や学派を超えて、古典語・方言・通言語的視点という3つをバランスよく踏まえ、日本語の格の問題を扱っています。

▶下地理則(九州大学)

三省堂国語辞典 第八版 三省堂国語辞典 第八版
見坊豪紀、市川孝、飛田良文、山崎誠、飯間浩明、塩田雄大〈編〉
三省堂
2022年1月
プロソディー研究の新展開 プロソディー研究の新展開
窪薗晴夫、守本真帆〈編〉
開拓社
2022年2月
シリーズ〈日本語の語彙〉6 近代の語彙2―日本語の規範ができる時代― シリーズ〈日本語の語彙〉6
近代の語彙2 ―日本語の規範ができる時代―
飛田良文〈編〉
朝倉書店
2022年3月
地域文化の可能性 地域文化の可能性
木部暢子〈編〉
勉誠出版
2022年3月
南琉球宮古語 池間方言辞典 南琉球宮古語 池間方言辞典
仲間博之、田窪行則、岩崎勝一、五十嵐陽介、中川奈津子〈編著〉
国立国語研究所
2022年3月
みんなふつ語彙集:水納島方言 みんなふつ語彙集 : 水納島方言
セリック・ケナン、大浦辰夫〈著〉
国立国語研究所
2022年3月
日本の消滅危機言語・方言の文法記述 日本の消滅危機言語・方言の文法記述
セリック・ケナン、木部暢子、五十嵐陽介、青井隼人、大島一〈編〉
国立国語研究所
2022年3月
Handbook of Japanese Sociolinguistics Handbook of Japanese Sociolinguistics
Yoshiyuki Asahi, Mayumi Usami and Fumio Inoue〈Eds.〉
De Gruyter Mouton
2022年4月
ディラブディ ディラブディ
與那覇悦子〈作話〉、山本史〈絵〉、山田真寛〈ことばの解説〉
ひつじ書房
2022年5月
Prosody and Prosodic Interfaces Prosody and Prosodic Interfaces
Haruo Kubozono, Junko Ito and Armin Mester〈Eds.〉
Oxford University Press
2022年5月
外界と対峙する 外界と対峙する
伝康晴、前川喜久雄、坂井田瑠衣〈監修〉、牧野遼作、砂川千穂、徳永弘子〈編〉
ひつじ書房
2022年6月