Vol. 14-1 (2024年11月公開)
2024年7月20日(土)、5年ぶりに国語研を会場として一般公開を開催しました。猛暑にもかかわらず、1,000名を超える方々にご来場いただきました。国語研のとびらを開けると、どんな世界が広がっていたのでしょうか? 当日の様子をご紹介します。


「ずっと気になっていた建物に入ることができて、とてもうれしいです!!」
来場者から寄せられたアンケートには、同様の感想がいくつも見られました。入り口を入ると、明るく開放的なエントランスホールが目の前に広がります。受付で案内を受け取り、ニホンゴ探検の始まりです。
6つのポスターと「れきみんワークショップ」で解説を聞いてクイズに答え、全問正解すると景品がもらえます。こどもから大人まで、多くの方にご参加いただきました。各ポスターの前では研究者が解説を行い、来場者から質問も出て、活発なやりとりが見られました。ここでは、ポスターの概要とクイズの一部を紹介します。ヒントがないものもありますが、ぜひ挑戦してみてください。答えは、オレンジ色の四角形をクリック(またはタップ)すると現れます。


どんなときに丁寧なことばを使いますか? それはなぜ? 来場者に問いかけながら解説が進みました。丁寧なことばは丁寧にしたい気持ちではないときにも使うことがある、という説明に、驚きの表情を浮かべる方もいました。

日本語では子音の後ろに母音が付いていますが、その母音の音が消えるときがあります。それはどの場合かを、のどに手を当てながら声を出して確かめてもらいました。狭母音の「い」と「う」が無声子音(/p、t、k、s、h/など)に挟まれたとき、母音の音が消え、のどの振動がなくなりました。
無声化する母音があることばはどれ?
①ことば(kotoba)
②さくら(sakura)
③きらい(kirai)
④ちかい(chikai)

恐れを感じている様子を表すとき日本語では「顔が青くなる」と言いますが、チワン語では「顔+緑」を使うことや、色は文化と切り離せないことなど、チワン族の民族衣装をまとった黄さんの解説にたくさんの人が熱心に耳を傾けていました。
チワン語で「目+緑」というと、どういう意味になる?
①かわいい
②怒っている
③焼きもちを焼いている

言語によって、ことばの並べ方のルールが決まっています。日本語は、「太郎さんが 部屋を 掃除しました」のように、主語(が)、目的語(を)、動詞(る・する)の順に単語を並べます。この順に単語を並べる言語が、世界で最も多いそうです。

日本語には、和語の「ひとつ、ふたつ」、漢語の「いち、に」、外来語の「ワン、ツー」という3種類の数え方があります。和語と和語というように同じ種類の語が組み合わされ、一皿、一枚、ワンプレートと数えます。しかし、その組み合わせルールが変わってきたという解説に、来場者からもいろいろな例が挙がっていました。
漢語「番」と組み合わせているのに、現代語では和語の数え方になる数字は?
①1番と4番
②4番と7番
③7番と9番

リモコンや割り勘、ドタキャンなど、すでに定着している略語があります。それらの略さない言い方をご存じでしょうか。では、「キムタクごはん」を略さないで言うと? 大人は考え込んでしまいますが、こどもは即答していました。人気の給食メニューだそうです。
「ビー玉」の略さない言い方はどれ?
①ビールの玉
②ビートルズが好きな玉
③ビードロ玉
国語辞典を使った「しりとりワーク」は大人気で、こどもたちが真剣な表情で国語辞典をめくっていました。こどもを見守っていた大人も、いつの間にか夢中に。国語辞典で好きなことばを探して「かるた」をつくるコーナーでは、それぞれ思い思いの読み札と取り札が完成しました。
「『かっこいい』ってどう言ってる? 投票しよう!」には、たくさんの投票をいただきました。結果はウェブサイト「ことば研究館」の「ニホンゴ探検2024当日レポート」で紹介しています。年代ごとの違いが見られました。


沖縄や奄美で話されている琉球諸語(島ことば)を体験していただくミニシアターには、三線の音色に引かれ、たくさんの人が集まりました。石垣市新川のことばを使ったラジオ体操や、三線の演奏と沖永良部島のことばの歌詞に合わせた手遊び、クイズなどを通して、「琉球ことばの旅」を楽しんでいただきました。

ことばを調べるときの強力なツールである「コーパス」を使い、研究を体験できるコーナーです。「たまご」「卵」「玉子」、最も多いのはどれかを楽しそうに調べる親子の姿も見られました。コーパスの検索ツール「少納言」は、ウェブ上で公開されており、利用条件に同意すれば、誰でも登録なしに無料で利用できます。

立川市歴史民俗資料館による、かつての立川の産業であり伝統文化である、桑の生産や養蚕、機織りに関する展示です。蚕が繭をつくる様子を捉えた映像や、繭の実物、昔の道具に、こどもたちは興味津々でした。繭を引き伸ばしてつくった真綿と、植物のワタの種子を覆っている繊維を加工した木綿を触って比べ、違いに驚く様子も見られました。


会場は満席で、立ち見が出るほどでした。YouTubeでアーカイブをご覧いただけます。
世界には7,000以上※の言語がありますが、話す人が少なくなり消滅の危機に瀕している言語が約2,500あり、日本の8つのことばが含まれています。国語研ではことばを残すために、「ことばの記録」と、ことばを学べる絵本・教材の制作やことばを学び使える場所づくりなど「継承のサポート」を行っていることを紹介し、皆さんにもいろいろなことばを聞いて記録する「ことばの記録」を体験いただきました。
※数え方によって異なります。

「男の人が階段を駆け上がる」といった移動をさまざまな言語がどのように表現するかについて、実験で使ったビデオを織り交ぜながら解説しました。同じ出来事でも言語によって、誰の視点で何をどう表現するかが大きく違います。それを通して日本語がほかの言語と比べてどのような特徴を持っているかを考える研究です。

研究資料室と研究図書室を研究者による解説付きで巡る約25分のツアーです。研究資料室には、国語研が1948年の設立以来、75年間の調査研究で収集・作成した、調査票や情報カード、収録された音源・映像、語彙調査雑誌、言語地図などの資料が保存されています。研究図書室は、日本で唯一の日本語に関する専門図書室です。貴重書である『古今文字讃』と『無垢浄光経自心印陀羅尼(百万塔陀羅尼)』もご覧いただきました。



壁の展示を見つけ、足を止めて1枚めくると、そのまま夢中になって読みふける人が、多くいました。もっと読みたい方や見逃した方は、国語研のウェブサイト「ことば研究館」の「ことばの疑問」コーナーでご覧いただけます。

国語研は、2023年4月から総合研究大学院大学に日本語言語科学コースを開設しています。所員と在学生が、日本語言語科学コースについて紹介したり、入学を検討している方々の相談に応じたりしました。
来年も、国語研のとびらを開けてお待ちしています。

【クイズの答えがうまく見られなかった方のために】クイズ1 : ④、クイズ2 : ③、クイズ3 : ②、クイズ4 : ③